労働基準監督署を恐れるな

人手不足と採用難という言葉が世の中を席巻している中、現在の自社の「問題社員」に頭を抱えている経営者も多いのではないだろうか。

 

人は全然足りないし、人を欠かせる訳にはいかない。ただ、この社員だけは本当に何とかならないだろうか、という社員は少なからずどの会社でもいると思われる。仕事があまりできないだけならまだいいが、多いのは態度が悪い、愚痴や悪口や文句ばかり周りに悪影響を及ぼす社員だ。又、そういう社員の中でも、ある程度の力量があったり、営業でも数字を持ってきたりしている場合には更に経営者は何も言えなくなる。

 

私は悪影響を及ぼす社員は外した方がいいと10年以上も一貫して言っているのだが、ほとんどの経営者の方はその声にだけはなかなか耳を傾けてはくれない。その人がいないと現場が回らない、売上が減るとの意見が大半ではあるが、今の時代、簡単に社員を辞めさせることができない、という法律の背景があるのも大きい。

 

とにかく日本の労働者保護は行き過ぎている。どのような社員であれ、余程分かり易い悪事を働かない限り、会社が社員を辞めさせる事はできない。その行き過ぎた労働者保護、雇用者保護がそういった社員に限らず多くの社員の継続雇用への危機感と学ぶ意識を減退させ、その結果、企業の稼ぐ力が衰えてきているとも言える。

 

海外などは、会社に貢献できていない社員などはすぐに辞めさせられる。社員は辞めさせられたくないから、自身のスキル向上や、会社貢献を真剣に考える為、日本などと比較すると社員の危機感・真剣度が違ってきている。日本も終身雇用制度や年功序列が減ってきているとはいえ、本質的な労働者への対応の仕方が変わっていない為、経営者は社員を過剰に守らざるをえず、社員も自身のレベルアップの機会を失う。

 

中でも恐れるのが、労働基準監督署に駆け込まれる事だ。そういう社員はそういう知識だけは豊富なので、ほぼほぼ労働基準監督署に駆け込み、退職の不当性以上に、「在職時のサービス残業代」を要求してくる。ほとんどがそのパターンだ。会社は解雇できないので、社員が自ら辞めていくのだが、それでも彼らは労基に駆け込み、金銭を要求してくる。

 

しかし経営者側に立って強く言いたい。「労働基準監督署を恐れるな」と。

 

金銭を取られてもせいぜい100万円~200万円程度だ。退職者からすればしてやったりだろうが、会社がその社員を置いておくだけで年間500万円以上は普通にかかる事を考えれば超安いものだ。又、その社員が主力社員の場合はそうはいかないと、これも皆さん言われるが、そのような問題社員がそもそも主力であるというのは概ね幻想だ。営業の場合は言う程数字は上がっていないし、上がっても売上だけで利益貢献度はかなり低いはずだ。下手をすれば損失を増やしている可能性すらもある。現場の場合はその人がいることで周りが気を遣い、効率が上がっていないケースも多い。又はその社員が原因で将来性のある社員が辞めていく事なども本当に多い。実はそれほど価値がないというケースは圧倒的に多いのだ。

 

経営者は労基も怖いが、その社員への通告は言いにくいだろう。ここでその対処法をお伝えしたい。

 

そういった社員は年に何回か必ず「ボロ」を出す。その隙を逃さないようにすればいい。それを機会に「柔らかめの」対話の機会を持ち、そこで退職に仕向けるのだ。しかも無理に仕向ける必要はない。向こうからそれっぽい話は勝手にしてくれる。それに乗っかればいいだけだ。言う程難しくない。退職後に労基に駆け込み、一定の金銭を要求されれば払えばそれで終わりだ。無理に抵抗する必要はない。上記にも書いたが、それで終われば安いものだ。

 

労基への対策も必要ないし、そもそも恐れる必要などない。それは決められた「過程」と割り切れば全く大した事はないのだ。

 

そうは言うものの、なかなか割り切れないだろうが、結局その悩みを「永遠」に続く。やるなら腹を括ってやるしかない。

 

その後、会社の業績は驚く程に上がってくる。

 

 

 

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