この17年、様々な経営者の方と会ってきた。私の所に来るぐらいだから、皆さんそれぞれに悩まれ、その打開策として私の所に来ていただいている。
しかしその相談に対して、「ここが問題なんじゃないですか?」又は「この方向で考えた方がいいんじゃないですか?」と私が言うと、ほぼ全員の方が、「いや、それはそうなんですけど」「そうは思うんですけど」「言っている事は分かるんですけど」と言われる。最後に必ず「けど」がつけて言われるのだ。要はそれはやりたくないし、そこに関しては全面的には認めたくないという感じだろうか。「けど、何ですか?」と聞き返す事も多い。
私がどれだけ一生懸命に、そして極力柔らかく、できるだけ分かりやすいように話をしても、そこで「やはりそうですよね!」とはほぼほぼ言ってくれない。あまりにその流れが続くと、「そのお考えで今後もご自分でやられた方がいいんじゃないですか?」と私としても言うしかないのでが、そうすると「何故、そんな事を言うんですか?」と逆に怒られ気味になる事もある。
今までのその「自分の判断」「自分の考え」「自分のやり方」でやった「結果」がうまくいっていないのだろう。普通に考えれば、自分の考えややり方や判断を変えるしかなく、その変え方や方向性に対し、私の方向性に共感を得て、私の所に来ていただいているのに、何故かほぼ上記の問答になる。なかなか難しい。
そう言いながらも私も17年やってきたという事は、その皆さんの反応に対して、根気強く、場合によってはこちらも何回か「引きながら」、皆さんの意向も「受け止めながら」話をし続けてこれたという事かもしれない。しかし最近はその今期も無くなりつつある。というよりもう無い。
先日、建設関連の新聞に私の大きな記事が載った。そこに載る自分の写真を決める際、家族に載せる写真を相談した所、家族からは「その写真はちょっと怖いんじゃない」と言われた。しかし自分的にはまあまあイケてると思ったので、相談したくせに家族の意向など聞かずに自部の気に入った写真を掲載。その後、見た人のほとんどから、「もっと他の写真なかったんですか?あれは怖いですよ」と言われる始末。先程から偉そうに言いながらも、私自身もそうだという事だ。
人は人の意見を聞けない。誰かに相談に行き、アドバイスを求めたとしても、その意見も聞かない。ほぼ聞かない。これは相談と言っても、今の自分の考えへの「大枠での同意」を求めている部分が大きいからではないだろうか。自分の「考え」は変えないままに、「部分的」にだけ良さげなアドバイスだけを求めている、というのが多分正解だろう。どうしても自分の意志であり持っている感覚を放棄できないのだ。よって、その人のやっている事であり、仕事も含めて、「同じ結果」が延々と続く。
「結果が出ていない時」は、自分の判断は当てにしない方がいい、というより当てにしてはいけない。結果は出ていないのだ。自分の考え方は全てが間違っていると腹を括り、自分が信じた人の意見をまずは「全面的に」聞いた方がいい。それがどうしても抵抗があるなら、もう誰にも相談せずに自分で解決するしかない。あくまでも自分で決めるしかなく、その結果を受け止め続けるしかない。これは経験上、断言して言える事なのだが、ある「部分」のみ適用するのでは、結果は何一つ変わる事はない。
そして、その私の写真が掲載された新聞記事の反応は、今までの中で一番悪い・・・。
本当に自分の考えなど当てしてはいけない・・・。