昨日、超久々に銀行に行ってきた。地元の信用金庫だったのだが、銀行そのものに行くのが本当に久しぶりだった。5年程前までは約10年間、各銀行との付き合いはかなり深かった。バンクミーティングなども多かったし、県の機関とのやりとりも毎月あった。しかし、コロナ禍になる少し前位から銀行と関わるスタンスを一気に変えてから、自身のコンサルティングの在り方そのものも大きく変えた。銀行どころか、顧問先の会社にもほとんど行かなくなったからだ。
今回は借入金が売上の倍以上もある顧問先のメインバンクへの進捗報告であり、今後における返済や金利等の交渉だった。いつもは行かないのだが、先方の銀行からの同席要望もあり、あまり気は進まなかったが経営者の方と同行して行ってきた。
世の中の銀行が今どのようになっているかは、各経営者からの話で大体は分かっていたつもりだったが、実際もその通りだった。昨日行った感覚で言えば、10年前・15年前のシーンと完全に被ってくる感じさえした。要は何も変わっていないのだ。本当に全く変わっていない。何一つ変わっていない。これは夢かと思った位だ。
話の内容、先方の言い分、言い方、表情、銀行の立場に関する説明、何一つ変わっていない。昨日面談したその行員は、先日まで私のことさえ知らなかったようだ。それ位調べておけよ、と私も少し思ってしまった位。
打合せは1時間程。言い方が悪くて申し訳ないが、正直、全く相手にもならない。先方の論点や主張の筋が通っていない。数字を見る彼らなりの理屈はあるが、実はそれも理屈になっていない。自分達だけの表面上の理屈だ。その2人の年齢を聞くと、54才と49才とのこと。「お二人ともこれから先、大丈夫ですか?」と心配になって言ってしまった位。ただただ自分達の主張しかない。ただ返済して欲しい、それしか言わない。仮にもコンサルティング部でありながら何の提案もない。そして分析もない。そんなことだけ言うのだったら、そこにいる窓口の女性行員でもいいんじゃやないか、と思わず言った位だった。
その顧問先は売上高約1,5億円程の超小さな会社だ。売上の2倍以上の3億円近い絶望的な借入金があったのだが、この10年で約1億は返済した。金利で700万円以上も取られながらも、年間で1000万円以上返し続けたことになる。要は営業利益で1700万円(実質営業利益率10%以上)を10年間出し続けた理屈になる。まだ借入金は残り2億もあるが、私的には今度は10年もかからないと思っている。5年もすれば借入金は半分以上減り、7~8年を目途に全てが終わると思っている。どう考えてもありえないような話だが、勝算は90%以上、と社長にも断言しており、社長も自信を持ちつつある。
会社は表面上では利益が出ていない、というか出していない。税金の問題もあるので、問題ない範囲で調整をしている。それでも返済は滞らずに1億近くを返してきた。上記を10年続けてきたその理屈を銀行員は分からない。「利益が出ていないですね~」と決算書だけ見てやや挑発的に言ってくる。「こいつら本当にアホじゃないのか?」との厳しい言葉が喉から出そうになったが、そこは流石に我慢した。そして、「売上が、償却前利益がと言ってくるが、ではどうして1億を返済できたと思うのか?」という問いには一気に閉口していた。
世の中は変わった、ただ実際は人も業界もそのほとんどは変わっていない。AIからAGIへ、そしてASIがもう数年後まで迫っている。しかし多くの人は変わらない。その行員達の定年も近い。60才を過ぎてからどうして生きていくつもりなのか?そんなことで大丈夫か?などと余計なことを思いながら、銀行をあとにした。
もう当分銀行にはいかない。10年後に行っても多分同じような感じだろう。いや、10年後などには銀行というものががもう変わってしまっているだろうし、そもそも今の形態の銀行などももうない可能性も十分にある。シンギュラリティなんかももうすぐだからだ。今後の世の中の予想などつかない。ただ、色々な面で様々な格差が今まで以上に広がることだけは間違いないだろう。