嫌な仕事は出来れば断りたい。リスクの高い仕事、かなり遠方の仕事、そして利益が出ない仕事。何とかうまく断りたいが、うまく言えない、そういう人は多いと思う。
前回のブログと背景が被る内容になる。前回、「何でそんな仕事を受注するのか?」と書いたが、前回は触れなかった、皆が微妙な仕事を請けてしまうもう1つの理由に、「断りにくかった」というのもあるかもしれない。
安い仕事、気が乗らない仕事、大きなリスクを感じる仕事、公共工事などの「順番」でのあまり良くない仕事、などを請けてしまう理由の1つに、「断りにくい」というのは確かにあるとは思う。「断りにくい、だからしょうがなくやる」。仕事だけに限らず一般的にも、良く言えば気の優しい人、悪く言えば優柔不断な人にありがちなことかもしれない。そしてそのしょうがなくやったことで、自社や自身が大きなダメージを受けることは往々にしてある。
その際にどのようにして断るのが角が立たずに一番いいのか?というのは、意外に多くの人が悩んでいることかもしれない。そういった中で、そういった気が進まない仕事を受注せずに断る方法としては、私はこれ一択だと思っている。
「何とかしたいが、どうしても忙しくて手が回らない」
それ以外の内容は一切言う必要はない。逆にいろいろなことを言えば言うほど、どうしても言い訳めいてしまい、結果、相手との関係がおかしくなってしまう。
相手に不快な思いをさせずに、出来れば次回につなげたい。でもその仕事だけはやりたくない。そういう王道のケースだけでなく、仕事を断るという中ではこの「断りワード」が一択となる。
余計なことは一切言わなくていい。その仕事、請けたくないな、と思ったら、とにかく丁重に心を込めて、「何とかしたいんですけど、人がいなくてどうにも手が回らないんです。本当に申し訳ない。また次回是非お願いします」とだけ言えばいい。「そこを何とかやりくりできないか?」とまでは言ってくる人はいるかもしれないが、「本当に申し訳ない。また次、是非お願いします」とそこも重ねて言うだけでいい。それで相手が怒ることはまずない。
安いからできないと言っている訳でも、遠いから嫌だと言っている訳でも、ましてその会社やその人が嫌でその仕事をしたくないと言っている訳ではない。実際は本当はそれが理由であったとしても、「どうしても手が回らない」その回答一発で言い切るのだ。
ましてこれだけの人手不足の時代。建設業界などで言ったら尚更だ。変な言い方だが、そこは自信を持って言い切って欲しい。心を込めて、更に出来ればやや半泣き気味にでも言ってみて欲しい。「どうしても手が回らない😿」と。
このキラーワードで通じないとすれば、それはただ言い方が弱いだけだ。どこかで出来るかもしれないという「ニュアンス」を含んでいる場合は、相手は必ず「突っ込んで」くる。相手に突っ込ませないように、そして相手から「そうか残念だな。また次回は頼むね」と明るく返されるくらいの言い方で言いたい。丁重に断言して言い切りたい。
「どうしても忙しくて手が回らない」と。
そして自分達が望む仕事、利益の出る仕事、自社から近い場所の仕事、やり易い仕事が出てきた場合は、大きく手を上げて言おう。「丁度人員が空きました!」と。「今回は何となります。是非やらせてください!」と言えばいいだけだ。
いい仕事だけ受注する訳にはいかない、選別受注などできない、と正義感っぽく言う人がたまにいるが、これは仕事である。自社にとっていい仕事を受注することの何が問題なのか分からない。
自社の限られた経営資源、人的資源をどこにどれだけ配分すべきか、ということを検討し、決断するのが経営者の仕事だ。いかにいい仕事を選別して受注するか、ということだけを考え続けてもいい位だ。現実的には、全てをそのようには出来ないかもしれないが、それでもひたすら試み続けてみた方がいい。
極端な話、今回のこのワード一つを「完全会得」するだけで、会社の利益は上がるとも言える。