苦労はお金に変えないと意味がない

もう20年近く、数多くのいろいろな経営者を近くから見ていて、ずっと思っていることがある。皆、こんなに苦労しているのに全く報われていないということだ。それは今でも心から思う。

 

多くの経営者は本当に一生懸命に働いている。自ら営業して、場合によっては現場にも出ながら会社経営をしている。社員の問題で苦労し、資金繰りには常時頭を悩ませている。借入金が多くなっている企業だと尚更だ。銀行への対応にも苦慮する。そして年度によっては決算書を触らないといけなくなる時も出てくる。そして現実的には、それらの大部分の経営者の会社はうまくいっていない。

 

うまくいっている、ということの捉え方にもよるが、少なからずのお金が会社に毎年累積され続けていない限り、それはうまくいっているとは言えない。決算が多少の黒字程度ではまずお金は貯まらないのだ。最終利益が赤字などは正直論外であり、数十万円・数百万円の黒字などは黒字とは全く言えない。経営者の実際の感覚で言えば完全にマイナス感覚のはずだ。

 

営業利益率ベースで考えてみる。売上規模によって多少は変わってくるものの、私の感覚では、営業利益率3%位では資金増の感覚は全くないはずだ。営業利益率5%で「やや」ゆとりを感じる、というより不安が少し減少されるという程度。営業利益率10%になって初めて資金が増加に転じるという感覚だと思う。そして営業利益率が20%付近になってきてようやく手持ち資金が急増してくるのではないか。しかしそんな会社などほぼない。0.1%以下だろう。

 

営業利益とはいうのは、売上総利益(粗利益)から一般管理費を引いた利益なので、仮に売上高に対する一般管理費率が20%あるとすれば、上記の必要な営業利益率にプラスして20%の「粗利益」が必要だということになる。営業利益率20%を確保するには、全社の「年間粗利益率平均」は40%必要ということになる。年間の粗利益率平均で40%、業種にも多少よるが、それでも普通に途方もない数字だ。営業利益率10%にしても、年間平均で粗利益率が30%必要ということになる。この時点で99.9%の経営者は目指すことすらギブアップとなるはずだ。

 

そして皆、毎年の純利益は赤字か数十万円、頑張っても数百万円位に落ち着いていく。良い現場等が重なり、すごくうまくいった年が数年か10年位に一度あったとしても、純利益で1000万円程だろう。

 

という、それっぽい理屈を延々と書いてきたが、言いたい事はそういう事ではない。それだけの低収益で、しかも自身の役員報酬も社員と同等かそれ以下の中、日々の身労も心労も絶えないのだ。もうやってられないと思う。私なら無理だ。それなら会社経営などやめて、どこかに就職した方が余程いい給料ももらえて、借入金などのリスクも存在しない。自分の思い通りにできないという不自由度はあるかもしれないが、少なくとも身が削られるような心労はなくなるだろう。

 

それだけ苦労するのだから、経営者は収益を大きく上げないといけない。役員報酬は最低でも1000万円以上、出来れば2000万円以上はもらいながらも、会社の現金は着実に毎年増えていき、資金繰りの心配など一切ない、という状況になって初めて、経営での苦労も報われるのだ。

 

経営する以上、上記の利益は目指すべきだ。それが出来ないと思われるのなら、会社経営はやめた方がいい。経営者の方々の苦労への見返りがあまりにも少なすぎるからだ。過酷過ぎるとも言える。

 

日々の苦労はお金に変えないと意味が無い。それはサラリーマンにも言えることかもしれない。

 

皆、その本筋に立ち返って欲しいと私はいつも思っている。