企業の業績の目安は当然決算書になる。決算でその1年を集計し、銀行もその数字を見てその会社を判断する。
BS(貸借対照表)に関してはそれでいいかもしれない。BSを見ればその企業の全ては分かる。「その会社の歴史」と言われる通りだ。しかしPL(損益計算書)に関しては必ずしもそうとは言い切れない。PLは便宜上の区切りの月で業績を一旦リセットかけているに過ぎないからだ。その1年の業績を「正確に」表しているとは決して言えない。それでも小売業や、発注から納期の短い商品を扱っている卸売業、又は飲食業などにおいてはPLも正確な数字にはなっているであろう。
その中でも建設業界、及び納期のかかる商品を製造している製造業になると話は完全に変わってくる。「工期」「納期」に数ヶ月かかる業種についてはPLはほぼほぼ意味をなさないとまで言い切ってもいい。少なくとも私はそう思う。
現場が1月から6月までかかる現場を3月で決算に入れるのは当然無理だ。「進行基準」で出来なくもないが、正確性には欠けるし、計上に手間もかかる。「完成計上」で次期にもっていけばそれでいいのだが、そうなると売上や利益のバランスが崩れ、決算の数字に大きく影響が出てしまう。銀行などは決算書しか見ないから、その期の決算書上だけ業績が良くない会社は、どうしても手を加えたくなってしまう。次期に完成現場が繰り越されていると説明したとしても、「出来るだけ」業績を良く見せたいと思い手を加えてしまう事も少なくない。
そういう私もコンサルタントとしてはずっと決算書を追いかけてきた。顧問させていただいている会社の決算を良くしないと、銀行にいくら正当な理由を説明したとしても、なんだかんだ「悪印象」を持たれかねないので、計上現場が少ない期などは、期中に完成する現場の受注をメインにするように促したこともなどある。
しかし最近、それをあまり考えないようにしている。場合によっては、「決算なんてもう気にしなくていい」と顧問先の社長に言っている位だ。
ただ、それにも最低限の条件がある。「借入金が少ないこと」「経審の兼ね合いが無いこと」の2点になる。経審は2年のアベレージで見られるからまだ何とかなるが、問題は借入金の多い会社だ。ここは前述の通りで、銀行は決算書しか見ないから、何とかそれなりの数字にするしかない。次期にいくら多額の工事が計上されるとしても、当期が赤字にある事は避けたくなってしまうからだ。
決算書を気にしなくてもいい会社というのは、その「2点の縛りが無い」会社だ。もっと単純に言えば、借入金が少ない会社は決算書などは気にしなくてもいい。カチ無視しても構わないとまで私は最近言い切っている。決算を気にするあまり、無駄な調整やリズムを崩してしまう受注、そして決算処理も大変になってくる。いくらその年が赤字になろうが、次期でカバーできるだけの受注を「確保」出来ているのであれば、当期などはどうでもいいのだ。但し、アベレージでちゃんと年平均の目標の純利益に辿り着ける、というのは当然条件になってくる。年間で3000万円の最終利益をベースの目標にしているのであれば、当期が1000万円の赤字でも次期に7000万円の黒字になればいい、という考え方だ。当期1000万円の赤字、次期1000万円の黒字程度では意味がない。そこだけは間違えないようにした方がいい。
後は年間の「受注利益」を明確に定めておく事だ。「いかに年間の受注利益目標を確保するか」それこそが一番の目標となるのだ。しかっりと年間の利益目標を立てており、借入金が過大ではない会社は、変に決算書にこだわることなく、年平均での利益確保を最低限の条件に切り替えて、決算に臨む事をお勧めする。
