経営者はどうしても社内では浮いてしまいがちだ。経営者なりに、社員の方達に一生懸命気を遣ってもなかなかその距離は縮まらないからだ。
そうこうしているうちに社員と「全く」関わる事ができなくなってくる経営者も少なくない。そのうちに「もうどうしていいか」分からずにその「溝」は深くなり、結果「疎遠」な状態で日々顔を合わせている社長と社員もいる位だ。
社長さん達に聞くと最初から社員と距離を置いていた訳ではない、と皆さん言う。しかし結果として、少しずつ少しずつその距離は離れ、何となくお互いに「不満的なもの」を胸に抱えていく。そういった背景もあり、社長が社員と「きちんと話をする」機会を設けていない会社は意外に多い。多少挨拶をしたり、事務的な会話や業務的な会話はするものの、「普通」の会話は何年もした事がないと言う社長さんもいる。そして、「特に話などしなくても仕事は出来なくもないので大丈夫か」と思うようになり、それが後に社員達の退職等の問題へと繋がっていく。
それでは経営者はどのように社員の方々と距離を詰めればいいのか?実は難しい事は何もない。ステップは僅か2つ。
①社員面談の機会を定期的に設ける
②小さな約束を守る
①はその機会を作るしかない。各社の「会議体」もそうだが、集まれるときに集まっているなどと多くの会社の経営者は言うが、それは会議とは言えないのと同様だ。ここは是非、社員と話をする「正式な場」を設けて欲しい。賞与時に賞与をただ振り込むのではなく、その明細を渡す時に各人の状況を聞くための時間を作るのもいいだろう。時間にして10分~15分でもいい。「人」はお金をもらう時には素直になるものだからだ。そういった場で「最近どう?」「何かある?」的に状況を聞けばいいだけだ。又は半期に一度、ただ面談の機会を作るのもいいだろう。
②は小さな約束と言うか、小さな「要望」を聞くという事だ。経営者は面談時に色々な意見(場合によっては文句)を言われる事を嫌がっているケースが多い。それが嫌だから社員との接点を避けている社長さんもいる。しかしそこは逃げてはいけない。
そもそもそこで聞いた意見を「何でも叶えなければならない」と思うから無理がある。要望があっても出来る事と出来ない事があるはずだからだ。年収1000万円欲しい、と言われてもそんなの簡単に出来る訳がない。そこで上記にも書いたが「小さな約束(要望)」を守るようにするのだ。「簡単な約束(要望)」と言い換えてもいいかもしれない。
「玄関の看板の位置を変えた方がいい」とか、「ホワイトボードが見にくいので新しくしてほしい」などといった意見は、「多少」費用がかかる内容も時にはあるかもしれないが、そんなに大したことはないはずだ。逆に言えば大した事ないことをやってあげるのだ。何よりそれを面談後「すぐに」対応してあげる事だ。
「社長はすぐにやってくれた」「自分の意見を聞いてくれた」と社員は必ず思うはずだ。これは相手が若手社員でも効果がある(若手社員の方が効果は強い)。相手の立場や年齢に関わらず、そこで聞いた「簡単な」意見や要望に対して、すぐに対応してやるのだ。社員は感動するはずだ。少なくとも昔私はそうだった。
とにかく難しい事を何とかしようと思うから、社員と話をする事に抵抗を感じ、結果疎遠になり、業績にも結び付かない、という悪循環に陥る事がほとんどだ。
しかし実際はそんな大した話ではない。とにかく半年に1回でもいいので、機会を作り、「小さな要望をすぐに叶えてやる」ことだ。それだけで経営者の評価は上がり、社員との信頼関係も少しずつ醸成されていく。どうか試してみて欲しい。
