立場が違うと交渉のやり方も逆になる

交渉を行う際、自分が「売る場合」と「仕入れる場合」の交渉法は変わってくる。同じ考え方で行ってはいけない。簡単に言えば「逆に」なるという事だ。

 

自分が売る場合には当然少しでも「高く」売りたい。業種であり規模にもよるが、粗利益も30%は欲しいだろう。その場合には、相手の予算と競合相手の状況を把握しなければならないが、特に予算に強い縛りと競合相手がそんなに見えない場合には、値引き幅は極限まで抑えたい。

 

原価100万円であれば売価は150万円位では提出したいものだ。上記の背景であるのに、盲目的に120万円程度で提出し、粗利益率を15%程度にしているケースがかなり多い。しかしここは、まずは150万円程度で出しながら、下げるにしても、相手の反応によって少しずつ下げていきたい。

 

交渉相手の「先方の担当者」は、取り決めに比較的甘い担当者でも「少なからずは」値引きを要求してくるはずだ。その際には上記の金額の事例の場合の値引き額は、普通で2万円程度、最大でも5万円程度までに留めておきたい、もっと言えば、その程度の値引き幅を「前提」にして、最初から153万円~155万円に設定して値引き幅を「あらかじめ」作っておくのもいいだろう。

 

120万円で出してから、「意外に安いね」などと言われて後悔してももう遅い。しかし最初の提出金額が高ければ、そこから下げればいいだけだ。しかし皆「高い=嫌われる」「高い=受注出来ない」と思い過ぎて、あらゆる局面で「感覚的な」粗利益率10~15%で落ち着けたがる。会社によって差はあるものの、大体の会社の一般管理費比率は20%付近に落ち着くことが多い。つまり、粗利益率20%以下では、会社としては実質は赤字になるという事になる。そこまで考えないといけない。まずは高く提出して、値引き幅は少しずつ少しずつというのが基本と言える。

 

尚、最後に先方から「その金額を税込みね」と言われることが多い。そこは絶対に引いてはいけない。込み込みになど絶対にしてはいけない。ここは「そこだけは勘弁して欲しい」と懇願するしかない。「そこがなかったら大赤字です」と大袈裟に言って、泣きつくしかない。交渉毎において、泣きつくことは弱さを見せることにはならない。これは強い人だからこそできることだ。しかも実際に泣くわけではないので、ここは「愛嬌をみせながら」先方の要求は断りたい。

 

次に、自分が仕入れる場合はその全くの逆になる。まずは「2割引き」というのが大前提になる数字だ。2割引いた金額を「具体的に提示」して、その金額を要望する。上記の150万円で仕入れ業者から見積り提出された場合には、「120万円にして欲しい」と明確に伝える必要がある。先方も簡単に了承しない。そこからは「金額の間」をとっての攻防になるが、落としどころは最低でも140万円、できれば135万円は欲しい。そして最後に「税込みでお願いします」と言おう。上記の全く逆である。ここは発注側の場合は遠慮してはいけない。「税込みでその金額」、これが交渉の最後の言葉だ。

 

上記が、立場が変わった場合のそれぞれの交渉スタンスになる。しかし、その両方ともに言える大事なことは、「相手を尊重する姿勢」だ。特に仕入れの場合は、発注側だからといって偉そうにしてはいけない。しかし、一昔前の建設業界ではそういった偉そうな発注者は数多くいたものだ。

 

私自身も商社にいたころ、「売る側」と「仕入れる側」の両方を経験してきたが、偉そうにしているゼネコンの担当者の人を何百回も見てきたものだ。その度に「自分は絶対にあんな風にはならない」と誓っていた。発注側が偉そうにすればするほど、相手は戦意を喪失する。中長期的に見ても結局損をすることになるのだが、そこに変な快感があるのか、日ごろのストレスを晴らしたいのか、本当に偉そうな人は多い。時代的にも多少は減っているだろうが、今でもいることはいる。

 

上記の姿勢を踏まえた上で、立場が違う場合のそれぞれの交渉をしっかりと「演じて」欲しい。上記を正しく行えば、少なからず利益額も利益率も上がるはずだ。