銀行は体質もやり方も何も変わっていない

銀行がコンサルティングに力を入れ出したのは10年位前からだと思う。私の地元の地銀がコンサルティングに舵を切り、私の所へのコンサルティング、出向社員の受け入れ、行内での講演など、様々な形で依頼をいただいたことから協力させていただく事となった。

 

私にとっても悪い話ではなく、ここで様々な実績を積み上げる事が出来た。その流れでの4度の出版があり、今があるとも言える。その後、その銀行も自主路線でコンサルティングを行うようになり、今もコンサルティング拡大路線を続けているようだ。

 

その銀行から遅れて、他の銀行でもコンサルティングが言われるようになり、「銀行のコンサルティング化」が一代ムーブになった頃もあった。

 

しかし最近はその影はほとんどない。私の地元の地銀は引き続き頑張っているようだが、それ以外の銀行がコンサルティング力を磨き、そこに道を拓いている様子は聞かなくなった。代わりに聞くようになったのは、「銀行の評判」は10年以上前と全く同じものになっている、というものだ。

 

私も現在の顧問先の流れで、今でも各銀行の話を聞いたり、行員と直接会ったりもしているが、申し訳ない言い方だが、そのレベルは昔と何ら変わっていない。その私の地元の地銀でさえ、コンサルティングチーム以外の一般の担当者のレベルは昔と同じになっている。

 

行員の方々の全てとは言わないが、各企業に何故か「上から目線」でやってきて、決算書の一部の数字と、試算表だけを見る。借入金がそこそこある会社には資金繰り表を作らせ、受注現場の注文書を毎回もらう。その「上記だけ」の資料で「会社の全て」を判断する。行員が皆言うセリフも同じだ。10年前、20年前、30年前と全く変わっていない。逆に凄いな、と最近は感心さえしている位だ。企業側も企業側で同様の対応をしている為、経営改善の本質に至る事は残念ながらほとんどない。

 

ここ数ヶ月で何回か地銀、信用金庫等の担当者と話をしたが、「こちら側の質問」に銀行側が答えられない事も多い。もちろん長期間、大きめの借入をしている企業側からは銀行に対しては強くは言えないのだが、それにしても行員は答えられない。「決まりがありまして」「昔からそうなので」「私の一存では」など、政治家のやりとりを見ているような話しばかりになってしまう。正直、「本当の数字の見方」が分かっていないから、こちらが「本質的」な数字を出して説明しても意味が分からないらしい。これはちなみに税理士さんにも言える事だ。

 

今まで何回も言っているが、試算表だけでは「今現在」の数字と「今後の数字」は把握する事は出来ない。試算表はあくまでも1~2ヶ月前の「結果」に過ぎないのだが、行員は執拗に試算表の説明を求めてきて、そこでのみ全てを判断する。企業側ももちろん試算表自体の説明はするのだが、それ自体が「その会社の現在」の答えではない。そういってもなかなか信じてもらえない。特に建設業界は工期がかかり、完成が期末の集中しがちなので、試算表の赤字が続く事が多い。売上がゼロの月も普通にある位だ。

 

銀行員の態度も気になる。昔からその体質は強いは強いのが、かなり偉そうな人がいる。ここは年齢は関係ない。若くても怖そうな行員もいる。これももちろん全員ではないのだが、どこか強気でありパワハラチックな担当者は未だに多くいる。むしろ最近になって増えてきているのではないだろうか。企業側はどうしても銀行には弱い為、経営者によってはかなり下手に出て、更に上から被せられる、という図もよく見受けられる。

 

それらの銀行への、企業の対応策はない。行員から例え何と言われようが、試算表だけでなく会社の「現在の業績管理資料」を自社で作って説明するしか方法はない。感覚で「今年は難しい」「今年は行けそう」「来年は受注が多い」などと言っても通じるはずはない。それに関しては銀行の言うとおりとも言える。

 

結局は、「銀行側」も「企業側」もお互いに進化していかなければならない。どんな事であっても、時代が変わっていく中で、10年前、20年前と同じ事をやっていてはいけないという事だと思っている。