価格転嫁は生き残りの絶対条件

「価格転嫁」を行う企業は少ない。これは今の時期に限った事ではない。以前、コロナ後の物価高において、物価が上がっている中での各社の「価格転嫁」の状況におけるアンケートがあった。

 

アンケートでは、「価格転嫁」を全くしていない企業が50%、一部のみしている企業が40%、満額転嫁している企業がわずか10%という事だ。又、先日行われた、現在の「ナフサショック」における価格転嫁の状況のアンケートでは、「一部」価格転嫁している企業が70%、価格転嫁を検討している企業が20%、価格転嫁を全く考えてもいない企業が10%との事。いずれもその「価格転嫁」に対する消極的な姿勢には驚くばかりだ。

 

もちろんその気持ちは分かる。値上げしたら顧客が離れてしまう。答えはその1点だろう。しかし、それでは一体どうするのか?上記の先日のアンケートでも、その「価格転嫁」の「各社の対応の予定」としては、「経費削減」であり、「社内体制や効率化の見直し」などの内向きなものが多く、顧客に対する「販売価格の転嫁」については、あまり考えていないという会社がやはり多い。仮に価格転嫁をしたとしても、大体の会社は「上がった原価の一部」だけを転嫁するに過ぎない。原価が10万円上がったら、売価を2万円上げるなどというものだ。最悪ではないが、残念ながら解決策にはなっていない。

 

いずれにしても、上記の大半の会社は、その物価高分、原価高騰分を「何とか自社で」吸収しようとしている。先ほども言ったように、その気持ちは分からなくもない。又、それしか「やりようもない」とも言えるかもしれない。しかしいつの日か、今の物価であり、今の原価はまた元に戻り、数年前の状況に戻るかと言えば、それはかなり考えにくい。多少は今よりも原価は下がるかもしれないが、今現在のの原価が徐々に「標準化」されていくであろう事はここ数年の経過が証明している。

 

原価アップ分は、「満額転嫁」しなければならない。「満額転嫁」とは、原価が10万円上がったら10万円上げるというものではない。それでもまだ少ない。各社なりの適性な粗利益分を乗せて12万円又は13万円または14万円を売価の上乗せするというものだ。しかもやっとそれで「今まで通りの水準」だ。自社の粗利益率そのものが上がる訳ではない。やっと同水準というだけのものだ。よってそれ位は、難しくても何としてもやるしかない。

 

コロナ禍、そしてウッドショックを超えて「住宅業界」などの単価も大きく様変わりした。そこにはもう以前の坪単価は存在しない。10年前に3000万円で建った家が、今は4000万円以上もかかっている。「全く同じ内容の住宅」でそうなってしまっている。もう原価が上がった状態で「定まってしまった」ので、そういう世界になってしまったのだ。

 

まだ自社では、価格であり単価をほとんど上げずに頑張っている、という会社も一部はあるだろうが、それは自社の貯金を減らし続けているに過ぎない。経費削減なども行って、自社なりに頑張ったかもしれないが、それは残念ながら「健全」な経営とは言えない。役員報酬や社員給与、人員削減をして「帳尻」を合わせても、根本が解決していないのだ。決して長くは続かない

 

残念ながら、もう元の世界には戻らないと思うしかない。

 

今後の対策としては、以下に明記したものが私の顧問先で対応してもらっている事の「一部」になる。

 

住宅でも建築でも既に「契約書で決まっている分の金額はしょうがない」とは決して思わずに、その契約済みの物件であっても、原価が上がった場合は施主に折衝してもらっている。確かに契約はしてあるが、それでも事情を説明して「少しでも多く」増えた原価アップ分をいただけるように、皆、交渉している。もちろん顧客もいい顔はしないが、今の世界の事情は誰もが分かっている。そこで全てを完全に突っぱねてくる施主は実際にはなかなかいないのが現状だ。

 

後、「今後の契約書」に関しては、「国内規模における物価上昇の場合の、契約金額変動の可能性」なとという項目などを追加してもらっている。契約した後でも、物価変動によって原価が変わった場合は、施主から追加をもらうというものだ。「それは・・・」という人もいるが、私の顧問先の皆さんは皆、理解してくれて、現時点で追加折衝をして、今後の契約に関しても契約書の雛形を書き換えてもらった。そして現時点でも大枠でうまくいっている。要はやるかどうかだ。

 

全ては自社の現在の苦境の突破、そして今後における生き残りの最低条件、絶対条件の戦略になる。これをやり切れるかどうかで、「3年後5年後の各業界の会社の数」は大きく変わっているはずだ。

 

ここは思い切って「舵」を切るしかないと、私自身は思っている。