公共工事に関するスタンスについては、最初の書籍「建設業のための経営改善バイブル」以前の、もう10年以上前から一貫して言っている。公共工事は控えた方がいいと。
それにはほとんどの建設会社の経営者の方から微妙な顔をされる。経営があまりうまくいっていない会社の経営者でさえも、「それは・・・」と皆さん後ろ向きになってしまう。
コンサルタントとしての私の意見としては、「公共工事程良くないものはない」と思っている位だ。ここで公共工事を皆が好む点と、私が感じているマイナス点を挙げてみたい、
(皆がやめられないポイント)
①会社の名前が前に出る
②利益率が高い現場がある
③話合いの流れが続いている
④今までずっとそうしてきたから
⑤売上が確保できる
(私が感じているマイナス点)
①資金繰りが悪化する
②現場監督専任の必要がある
③書類の手間が大きくかかる
④利益が取れない現場がある
⑤利益が取れない現場が増えてきている
⑥追加がもらえない事もある
以上のようになるだろうか。
最大のマイナス点は資金繰りの悪化だ。前回のブログにも書いたが、ほとんどの現場では、着手金で40%付近をもらってから、完成までは1円ももらえない。完成後も即ではなく、1ヶ月以上遅れる事も多い。これは余程資金に余裕がある会社でないと、そもそも難しい。
現場担当者も基本的には掛け持ちは出来ず、何より「書類提出の手間」が膨大にかかる。加えて、最近は利益のとれない現場が増えてきている。たまに、とてつもない赤字の現場を掴んでしまう事さえもある位だ。そしてそういう現場が、会社に「決定的なダメージ」を与えるのだ。まして物価高騰が目まぐるしい今の時代、「公共単価の修正」が実際の単価高騰に全く追い付いていない。今後ますます単価の乖離が出てくるだろう。逆に良い点も4つ程挙げているが、利益がそんなに取れていない今、上記4点はいずれも「良い点」とはそもそも言えない。
私は徹底して「下請け」に回る事を勧めている。下請けだと「出来高で請求」ができる(元請けの入金のタイミングでのみ請求出来るような契約には決してしない)。後は、元請けがいかに厳しい金額で請けようが、こちらは「適正な利益」を確保して見積りを出して契約する。これも基本だ。
建設業界は「下に行くほど」利益が取れないと良く言われるが、そんなはずはない。「下請け」がその金額で請けなければいいだけの事だ。利益確保の「逆ピラミッド現象」も起きうるのだ。後は現場担当者の掛け持ちも可能であり、書類作成の煩雑さから解放される。利益が取れそうにない現場などは、そもそも受注しなければいいだけだ。
皆の最大の懸念は「自社のプライド」の部分が大きいのではないだろうか。今まで話合い、競ってきた会社の「下」に回るというのがやはりどうしても抵抗を感じるのだと思う。その気持ちも分からないではない。しかしその結果が、今の各社の状況であり、建設業界全体の構造になっているのではないだろうか。
私の顧問先の多くは、下請けに回り会社の収益を改善してきた。しかし、会社の業績が安定し出すと、「そろそろ元請けを・・・」と皆さん大体言ってくる。結局はその部分は、やはり皆さんにとっては大きい部分なのであろうか。
収益を出して会社を安定させ、社員にいい給料を払い、自身の役員報酬も大きく上げる。個人的にはそれ以上の事はないと思っているのだが、そこはそうではないようだ。しかし現実的には、今の時代は「その両方」を得る事は残念ながら出来ない。
人生のおける様々な判断の中で、これも「右か左か的な判断」になる。「自身の人生」と「会社の将来」を考えた場合の判断を各経営者はそれぞれしていくのだろう。その判断材料の一つにはしていただきたいと思ってる。
私の、20年にわたる「公共工事」に関する結論だ。
